【スキル 5】「考えられる」や「といえる」などの表現と出典から、筆者独自の考えか引用を根拠とした筆者の考えかを読みとる

次のように、研究仮説や研究目的の設定に至る過程で、筆者の考えであることを表す「考えられる」や「といえる」などといっしょに出典が書かれることがあります。このような場合に書かれているのは、先行研究からの引用を根拠とした考えであり、筆者独自の考えではありません。この文の「考えられる」の前に書かれている「内部適合は,ベストプラクティス・アプローチにおけるHPWPがHRM施策として整合されている状態」は、Kaufman(2010)からの引用です。筆者も同じ考えを持っているので、「考えられる」と書かれています。

■ また内部適合は,ベストプラクティス・アプローチにおけるHPWPがHRM施策として整合されている状態と考えられる(Kaufman, 2010)。

(石山恒貴・山下茂樹「戦略的タレントマネジメントが機能する条件とメカニズムの解明―外資系企業と日本企業の比較事例研究―『日本労務学会誌』18-1,2017」

また、次の文の「考えられる」の前に書かれている「性別ダイバーシティが高い職場では性別に基づくサブカテゴリ化が生じやすく,画一的な人員構成の職場と比べて協調が達成しにくい」は、文の始めに「van Knippenberg & Schippers(2007)等が指摘するように」とありますから、van Knippenberg & Schippers(2007)からの引用です。筆者も同じ考えを持っていますが、独自の考えではないことを示すために、出典が明記されています。

■ 他方で,van Knippenberg & Schippers(2007)等が指摘するように,性別ダイバーシティが高い職場では性別に基づくサブカテゴリ化が生じやすく,一体化を図りやすい画一的な人員構成の職場と比べて,協調が達成しにくいと考えられる

(正木郁太郎・村本由紀子「性別ダイバーシティの高い職場における職務特性の心理的影響―仕事の相互依存性と役割の曖昧性に着目して―」『経営行動科学』30-3,2018)

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